不毛な信念対立   F-10-4


3. 不毛要素の影響度合い
3-1 影響度合いの意義
多くの案件は複数の不毛要素からそれぞれ大小の影響を受けて「不毛な信念対立」となっています。そこで、様々な案件への影響度合いを示すことは以下のような意義があります。注)

・様々な案件を類型化するととも、各案件を特徴づけることが出来る。
・類型化と特徴づけを基にして、特定個別の案件を掘り下げることが出来る。
・特定個別案件に対して、要素ごとに異なる改善策を適用する戦略を得ることが出来る。

様々な主張・姿勢への影響度合いでもこれらの意義は同様ですが、内容が絞られることから案件全体よりも意義有効性が高まります。

さらに、姿勢を(自分を含む)特定人物にまで絞り込めばより有意義になります。

 注)注意すべきこととして、影響度合いは「不毛」を引き起こす大小を示しているのであって、対立への関与の大小でもや対立の激しさの強弱とは無関係。いくら関与が大きくても対立が激しくても、それらが適切で健全である限り「不毛」にはならない。

3-2 類似案件
上記の類似案件への影響度合いを下図に示しました。



A「被曝許容量の論争」とB「原発の撤廃vs存続」で影響度合いは全く同じですが、他の案件はそれぞれ異なります。このようにして案件を類型化することが出来ます。

@「川辺川ダムでの対立」では「価値観」「アイデンティティ」が〇(影響 大)であるのに対して、AとBでは「思考」「価値観」が〇、C「子宮頸がんワクチンの是非」では「情報」「思い込み」が〇となっています。

このようにして各案件を特徴づけることが出来ます。

 C「子宮頸がんワクチンの是非」では「思い込み」が〇なので、改善戦略としては実現が比較的容易な「思い込み」がターゲットになります。実際、最近では恐怖を煽った報道に対する客観的な反証が理解されるようになり、それだけで「不毛」がほぼ消え去りました。

3-3 川辺川ダム
川辺川ダムでの様々な主張や姿勢への影響度合いを示しました。

1)主張  


川辺川ダムの案件全体への影響度合いと比較すると無印(影響小)が多くなり、各主張の〇もかなり異なっています。案件全体よりも絞られ主張間の違いが明確になっています。

@「ダムの全否定」とB「ダムが水害を起こす」を比較すると、「価値観」は@では〇ですがBでは無印、「情報」はこの逆傾向となっています。また、「損得」は@では無印ですがBでは△(影響 中)です。
そのため、@は「価値観」で紛糾している一般論としての論争、Bは「情報」で紛糾している身近な脅威についての言い争い、になっているようです。
つまり、両主張の中味は似ていますが「不毛」の点では大きく異なっています。

これに対して、A「国の基本高水は誇大」とD「ダム以外の治水が可能」はともにダム必要/不要の決め手となる事実判断であり、すべての要素で一致しているので「不毛」の点でも同類になります。(当然、両主張が正しいか否かは別で、Aの誤りはすでに確定している)

なお、C「清流が失われる」はすべての不毛要素から強い影響を受けているので不毛要素のデパート如きとなっています。そのため改善は容易ではありません。

また、E「国交省は“悪人”」では「思い込み」と「感情」のみが〇となっており、信念対立(特に、事実判断が争点となる案件)では本来あり得ないものとなっています。しかし、実際には「不毛な信念対立」では同類の主張(誹謗中傷)が常態化しています。

2)姿勢 


対立の主役である国交省と住民では〇が対照的である点で「不毛」自体にすれ違いが発生しています。
しかし、ともに不毛要素が限定されているので、両主役の改善は比較的容易と思われます。

一方、脇役であるに関わらず「不毛」を煽っている面が否定できない脱ダムのマスメディア・活動家・学者では不毛要素が多く、しかも厄介な「価値観」と「アイデンティティ」の影響が大き目なので改善はかなり困難と思われます。
特に不毛要素のデパートとなっている活動家の改善は絶望的に思えます。




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