「運命共同体 百年の大計」   F-8-7


5. まとめ

 「運命共同体 百年の大計」決定過程の問題(いい加減な決まり方)について整理します。

5-1 対立

 東電裁判・二子玉川越水・低線量被曝・スーパー堤防反対運動では、鋭く対立し活動も活発ですが、実りのない不毛なものでしかありません。

 いずれも「与党/政府(行政)」vs「野党/市民」による対立となっており、与党側は多数派専門家の意見で方針を決定して押し通そうとし、対する野党側は少数派専門家との連携で理論武装し、法廷闘争やデモなども加えて与党側を攻撃します。与党や行政担当者・行政寄り専門家を「悪人」とし、与党見解を「虚偽」とハナから全否定して聞く耳を持ちません。

 そして、与党側はそれに負けじと頑なに防戦し、野党はさらに攻撃を激しくして・・・と悪循環が進んでいきます。

 

 一方、電源構成・脱ダム論・温暖化(グレタさん・研究・広報)では、外面的には対立はなく合意されているように見えますが、あるべき健全対立と真摯な議論が抑え込まれているだけです。

 実際、電源構成では野党が消極的なため与党案で進められ、脱ダム論では政府/与党が消極的なため野党案で進められています。また、温暖化では異論が許されない状況となっています。

 

 いずれも、あるべき健全な対立とは対極の不毛な対立となっています。

 

5-2 キーとなる問題点

・東電裁判:特定個人を悪者にして感情を煽って反原発の信念を拡散させようとしたが、最重要である不確実性対応の問題をあいまいにしてしまう。

・二子玉川越水:一部住民による不確実性の楽観的解釈、自分の利益重視(他地域は関心なし)、単純な反発感情が要因となった。

・グレタさん国連演説:しっかりした信念を持っているが、解釈が極端(大量絶滅)、決めつけが激しい(おとぎ話、邪悪)、自分の感情で人の感情に訴えている(よくそんなことが、絶対に許さない)点が批判されている。

・低線量被曝:自分の信念を拡散させたい特定の専門家が不確実性を利用して世論の感情を煽った。自らも信念・感情・功利のために正常な判断を欠いている。一部のメディア・世論では彼らは善人、彼らの批判者は悪人扱い。

・電源構成:不確実性が大きい、自党の信念が出せない、功利が望めない、訴えに感情を利用できない等の理由で野党は議論に消極的。

・スーパー堤防反対運動:電源構成とは違って、不確実性・信念・功利・感情の点で有利なので野党は積極的に活動。そのためもあってか住民の判断は功利・感情に影響されている。野党・住民も将来世代の利益には関心が薄い。

・脱ダム論:不確実性で脱ダム論に「甘さ」、政府に「甘え」あり。脱ダム論のアピールに感情(公共事業の闇:怒り、水没地域の悲劇:喪失感)を利用。政府をはじめ全当事者に利己が散見。脱ダム論者は善人、ダム推進者は悪人扱いも。

・温暖化研究:自分の研究の功利から研究が偏っている懸念がある一方、人類を救いたいとの強い信念、懐疑論が出鱈目なので人為説は正しいとの2元論がある。

・温暖化広報:批判を受けない利益から世論と共依存となっている一方、研究同様の信念と2元論、および情緒の利用がある。

 

 以上のように事例により関与の仕方は様々ではあるものの、各当事者による「信念の反映」「感情の影響」「功利の優先」「二元論による決めつけ」「不確実性の恣意的解釈」が“いい加減”を呼び起こしています。

 

 (完)

 


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